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裁判にも関わる!?「税理士」の役割について、現役税理士・大泉教授に聞いてみた!

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国家資格の一つである「税理士」。皆さんに身近な税といえば消費税ですが、税理士が扱う税は幅広いものです。では、具体的にどんな仕事をしているの? どんなことを学ぶ必要があるの? 今回は「税理士」について、現役の税理士として活躍しながら、高崎商科大学で簿記・会計学を専門分野に教えている大泉寛特任教授に聞いてみました!

そもそも「税理士」ってどんなことをしているの?

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聞き手
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税理士の仕事内容ってなかなかイメージができなくて......。具体的にどんな仕事をしているんですか?

大泉先生
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税理士の仕事に興味を持ってくれてありがとう。税理士は主に、企業や個人が納める税に関する相談事を受けたり、税金を計算するための税務申告書を作成したり、会計業務などを行ったりしているんだ。この他に、税務署が企業に対して調査を行うときの立ち合いや、裁判所の補佐人をすることもあるね。

聞き手
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裁判所の補佐人......?

大泉先生
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税法って、人間の経済活動が関わるものだから解釈もさまざまだし、法改正も毎年あるから、法律の中で最も難しい分野ともいわれているんだ。だから、裁判で税理士が「税のスペシャリスト」として弁護士のサポートを行うこともあるんだよ。

聞き手
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「税のスペシャリスト」ってかっこいいですね!

大泉先生
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スペシャリストとして、税理士は税法や会計学の知識だけでなく、たくさんの知識が必要な職業なんだ。例えば、企業がどういう戦略・計画で経営していくかによってその企業の税金の額も変わってくるから「経営学」の知識も必要だし、キャッシュフロー(資金の流れ)も理解していなければいけない。さらに、税のことを学ぶ上では「財政学」も関連してくる。このような多くの知識を生かして、総合的にイメージすることが必要な職業なんだよ。

税理士を目指す上で役立つ、「能動的」な学びとは?

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聞き手
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税理士って税金のことだけを学ぶと思っていたけど、全然違うんですね。

大泉先生
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そうなんだ。例えば「MBA」を取得している税理士もいて、私もその一人なんだよ。

聞き手
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MBA......ですか?

大泉先生
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MBAとは、Master of Business Administrationの略で、大学院で取得できる学位のこと。日本語では「経営学修士号」「経営管理修士号」と呼ばれているね。事業戦略、マネジメント、マーケティングといった知識の他に、問題提起やプレゼンテーション、議論を通して、ロジカルシンキング(論理的な思考)や問題解決など、"実務"に役立つ学びを行うことが特徴なんだ。

聞き手
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へえ!

大泉先生
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MBAの教育は問題提起やプレゼンテーション、議論の繰り返しだから、自分自身の意思決定や判断力を鍛えることができるんだ。でも私は、「大学でしっかりと学ぶこと」って、MBAの取得に十分匹敵すると思っているんだよ。

聞き手
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え! どういうことですか?

大泉先生
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今は、教員が一方的に教えるのではなく、学生が主体的に課題を解決する「アクティブラーニング」形式の講義を行う大学が増えてきているんだ。うちの大学もその中の一つ。後輩への指導等を行うチューターとして「教える側」から学んだり、プレゼンテーションやディスカッションの場を多く取ったり、学生と教員が双方向のコミュニケーションを行う講義も多く行っているよ。社会に出ると、情報を「受動的」に聞くだけではなく、自分の中に落とし込んで実践へつなげる「能動的」な動きが大切になってくるからね。

聞き手
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確かに、コミュニケーションを取りながら能動的に学びにつなげていくって、先ほど聞いたMBA教育のようですね。

大泉先生
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大学教育も、教壇から一方的に教える時代から変わってきているんだ。私も、"教壇から机の上に"というポリシーを掲げていて、自分の講義では、学生全員と話しながら教育を行っているよ。

聞き手
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全員......すごい!

学生と先生の距離が近い「生の教育」

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聞き手
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そういえば、先ほどから先生の研究室ではたくさんの学生さんが勉強していますね。

大泉先生
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私は基本的に自分の研究室を学生たちに開放しているんだ。この子たちは、税理士などの資格取得を目指している私のゼミの学生。よくここで勉強をしているよ。

学生1
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こんにちは!

学生2
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こんにちは!

聞き手
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こんにちは! 先生と学生の距離が近いから、学生の皆さんも勉強がはかどりそうですね。

学生1
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はい。分からないことがあっても、いつでも先生に質問することができるからすごく心強いです。一人で勉強するのにも限界がありますし......。

学生2
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資格試験って机の上でしか勉強できないことが多いと思うんですが、現役の税理士である先生から「生の声」が聴けるっていう環境はすごく貴重だと思っています。

聞き手
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確かに!

大泉先生
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今、大学に求められていることって「実務」だと思うんだよね。ただ資格を持っているだけではなく、実際に仕事をしてお客さんと向き合っている教員じゃないと教えられないこともたくさんあると思う。私はそういった「生の教育」をたくさんやっていきたいと考えているよ。

聞き手
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なるほど! では最後に、これから大学進学を考えている高校生へメッセージをお願いします!

大泉先生
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目標を持って大学に進学して欲しいな。専門知識を学ぶことで結果を得たときに喜びも大きくなる。皆さんはそれぞれ個性を持っていると思うから、個性を生かしながら大学で学んでみて欲しい。私はこれからも学生一人ひとりとしっかり対話しながら、それぞれに合った教育をしていきたいと思う。高崎商科大学で待ってます!

先生の必需品!

電卓&デジカメ&文房具類

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今回インタビューした教授

商学部 会計学科

大泉寛 特任教授

著書
・『コンペティティブ・インテリジェンスの基礎と新アプローチ』インテリジェンス出版(2018 年)
・『商学研究Ⅲ』「大学生のための「租税教室」の開催」高崎商科大学叢書第 9 号(2014 年、pp.31-36)、
・『地域力の研究Ⅳ』「会計事務所との連携による実践型人材育成に基づくインターンシップ報告-
模擬税務調査実習プログラムを中心に-」高崎商科大学叢書第 8 号(2013 年、pp.107-112)

論文
・「簿記教育におけるディープ・アクティブラーニングの方向性」高崎商科大学紀要(31)(2016 年、
pp.231-238)、
・「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の法理解釈と政策上
の問題点と今後の課題」高崎商科大学紀要(30)(2015 年、pp.165-170)
・「タックス・マネジメントにおける税法上の不確定概念」高崎商科大学紀要(26)(2011 年、
pp.203-207)

大泉寛 特任教授